広島大学 保健管理センター

慢性的な痛みについて

「慢性的な痛み」が与えるメンタルヘルス不調について

今回は、痛みについてお話ししたいと思います。日常生活で痛みを感じる機会はたくさんあると思います。人によっては、頭痛や腰痛など同じ場所の痛みが長く続いている場合もあるでしょう。ある報告では、5人に1人が何らかの慢性的な痛みを抱えているといわれています。慢性的な痛みがあると、精神的にしんどくなってしまいます。ここでは主に精神的なしんどさに焦点を当ててその対処法について考えてみたいと思います(身体的問題についてはここでは割愛します)。

痛みについて

 まず痛みについておさらいしましょう。ここでは2つのことを覚えてください。

1つ目は、痛みという体験は「いたっ」という感覚だけでなく,ネガティブな気持ち行動も一緒に伴っている、ということです。例えば子供が注射を打たれるときを想像してみましょう。注射を打たれると泣くというネガティブな行動をとる場合がありますし、不安や恐怖というネガティブな気持ちが引き起こされます。痛みを記憶するとその後の生活にも影響します(例;次の注射を打つ時に抵抗する)。他の感覚と比べてみましょう。触覚では触れるという感覚はありますが、ネガティブな気持ちや行動は引き起こされません

2つ目は、痛みは痛み以外のことで簡単に強くなったり弱くなったりします。ある研究では、角砂糖をただの角砂糖と知らず痛み止めとして飲んだ場合、痛みが弱くなることが示されています。他にも楽しい気持ちで痛みが弱くなり、逆に不安や抑うつで痛みが強くなることが示されています。気持ちだけでなく活動が減少したり、筋肉が固くなると痛みが強くなることもあります。このように痛みは色々なことで変化します。「痛みを押して快投するエース」といった話題も時々ニュースで散見します。おそらくそのエースは、試合中と試合後では痛みの感じ方は異なっていると思います。

 このような上記痛みの2つの性質から、痛みが持続すると、「持続的な痛み→痛みによるネガティブな感情やネガティブな行動が増える、筋肉も固くなる→さらなる痛みの増悪」という悪循環が形成されてしまう場合があります。

そこで痛みを緩和するために生活を見直してみましょう。

  • どんなときに痛みが変化するか自分をみつめてみましょう:1日の中で痛みが変化している場合があります。人と話をしているとき、食べているとき、散歩しているとき、たくさん仕事をしているとき・・・強くなる場合も弱くなる場合もあると思います。その変化に気づいてみましょう。
  • 楽しい気持ちを増やしましょう:「深呼吸」、「簡単なリラクゼーション」など簡単なことから始めてみましょう。「散歩」などでもいいと思います。または普段の生活でこれまでしていないことでもいいかもしれません。例えば「コーヒーの銘柄を変える」「無理やり笑ってみる」など簡単にできることから、「ハイキングに行く」など新たなことにチャレンジしてもいいかもしれません。
  • ストレス負荷を避ける:ストレスがかかると気持ちも悪くなり、筋肉も固くなりやすくなります。少し無理をしているという実感があれば、一旦休むことをお勧めします。
  • 睡眠時間の確保: 睡眠時間が減るとストレスを感じやすくなります。夜更かしは避けましょう。

「上記のこと簡単にできるわけがない」という声が聞こえてきそうですが・・・そのときはぜひご相談ください。