広島大学 保健管理センター

天気と体調は連動している?!

広島大学医系科学研究科保健学分野教授 川崎裕美

3寒4温の不安定な春の天気が終わり、安定した晴れの天気が続く季節になりました。屋外では、暖かい、を通り越して、暑いくらいです。紫外線も高レベルです。電子器機で酷使された目には、とってもまぶしいです。しかし、室内では、ひんやりしますよね。外で汗をかいた衣類は冷たくなります。屋外と屋内の気温の変化に注意が必要です。さらに、朝夕の気温の変化にも注意が必要です。西条キャンパスでは、広島県とはいえ沿岸部と比べると、最低気温、最高気温はけっこう低いです。梅雨明けまでは、肌寒い日があります。朝夕の寒暖差が激しいので、一人暮らしを始めた新入生は、冬物を少々ご用意くださいね。

「気象頭痛」という言葉を聞いたことはありますか。気圧や湿度と関連する頭痛も報告されるようになりました。気温変化が大きいと自律神経のコントロールが過剰になってしまうためのようです。「膝が痛いから明日は雨だ」とご高齢の方が話されることがあります。昔から、天気によって、体調が変わることを多くの人が体験しています。現代では、体調によって天気を予測する必要はありませんよね。天気予報によって体調を予測しましょう。まずは、体調が天気に左右されるかどうか、自分を観察してみてください。天気を変えることは、まだできませんが、天気予報によって、意図的にストレスをコントロールし、早めに環境調整することはできます。

私の研究室は、子どもからお年寄りまで健康を増進するための活動や研究に取り組んでいます。養護教諭や保健師の仕事です。学校での子どもの健康や、中山間地域での住民の体力や安全管理に係わっています。健康の保持増進のために、厳しい生活管理をするのは本末転倒ですから、その土地の習慣や食べ物、気候の特性も健康の要因として考慮します。

児童生徒や住民の方々と接すると、体調不良や頭痛は珍しいことではありません。他の疾患と区別が必要なことから、医療機関の受診も必要です。しかしながら、他に原因となる疾患がないにもかかわらず、体調不良や頭痛がある人も多いです。もし、体調と天気の関連がありそうでしたら、天気予報によって予測することができるわけです。体調は、天気だけでなく、睡眠・運動不足など他の要因が重なったときに不調になる可能性もあります。早めに薬を飲む、早めに眠る、ややこしい仕事に取りかかって気がかりを減らす、といったストレスへの備えをしてみましょう。

時刻も距離も天気も関係なく、人とつながることができるのは、幸せでもありますが、自分で行動や作業をコントロールすることがむずかしくなったとも思います。自分の特性を知って、自律神経をいたわりましょう。皆様が最高のパフォーマンスを発揮されることを祈っています。