人間社会学研究科健康スポーツ教育学教授 出口達也
人が健康で健やかに成長するためには「適度な運動・栄養・休養」が必要であることは、今や周知の事実であります。それでは、適度とはどれくらい?と問われたとき、正しく答えることができますか。はっきり言って正解はありません。しかしながら、その必要性を説くのが(健康)教育であり、正解に近い答えを導きだそうとする作業、プロセスが(スポーツ)科学です。
少し古いデータになりますが、内閣府「体力・スポーツに関する世論調査」(平成21年度)に基づく文部科学省推計によると、成人の週1回以上スポーツ実施率は全体の45.3%であり、大学生年齢も当てはまる20-29歳に至っては27.7%と、運動習慣の低さが顕著に見られます。心身ともにまだ成長期でもあるこの時期に、運動しないという事は、健康の維持増進が計れないばかりか、学業や社会活動の効率低下にも繋がりかねません。折角、広島大学に入学し、素晴らしい環境のもと教育を受けようと思うのであれば、健康な心身で行う事が必要条件であるという事を認識して欲しいと思います。
ひと昔前までは、日常の生活を送るだけでも、それなりの運動量が確保でき、特別な運動やスポーツを行わなくても体力や健康が維持できる環境でしたが、昨今のテクノロジーの進化によるオートメーション化やオンライン化などにより、身体を動かす機会が減少し、それらのことを特別に行わなければならない時代になりました。さらに、新型コロナウイルスの影響により、ますます運動する機会を奪われた今日、身体のみならず心の健康においても、運動、スポーツの必要性を痛感している人が多いと思われます。人が行う様々な活動の源となるのが健康な心身であり、それを作り上げているのが「適度な運動・栄養・休養」という事です。そんな時代だからこそ、まずは、身体を動かすことを始めましょう。そしてそこに、楽しさや価値を見出し、習慣化していきましょう。それが、ひいては効率の良い学習活動や研究活動に繋がり、豊かな人生を送れることになります。
広島大学には、運動やスポーツの教育、研究を行っている先生が多くいらっしゃいます。これを機に是非学んでみてはいかがでしょうか。
また、広島大学には、広い敷地の中、たくさんのスポーツ施設があり、また体育会やサークルなどスポーツを行う団体が多くあります。こちらも是非活用し、大学時代の学びのひとつとして、運動・スポーツの必要性と素晴らしさに触れてもらえれば幸いです。