広島大学 保健管理センター

睡眠について

“あなたは快適に眠れていますか?” 睡眠障害への対処についてお伝えいたします。
眠りは健康のバロメーターとも言われ,身体とこころの健康を保つうえでとても重要なものです。
日本人の睡眠は年々減少傾向にあります。睡眠障害は加齢によりその頻度は増加し,不眠に悩む患者数は増加しています。この機会に,よりよい睡眠のためのポイントについて考えてみましょう。

*快眠のための環境を工夫しましょう

生活リズムや精神的ストレスなどの生体に関わる要素が睡眠の質を左右することはもちろんですが,寝室の環境も大切です。睡眠に影響を及ぼす寝室環境因子である物理的環境条件の中では「光,照明環境」・「温湿度環境」・「音環境」・「香り環境」・「空気環境」・「寝具環境」が6大環境要因としてあげられます。睡眠に適した環境で質の高い睡眠を得ることは,日々のQOLの向上につながります。
快眠のために,自分の睡眠環境を見直してみましょう。

  • 光,照明環境
    • 睡眠に大きな影響を及ぼします
      白熱灯などの色温度の低い赤色波長成分の光を取り入れましょう。
      人の気持ちを落ち着かせ,くつろぎの効果があるといわれており,夜に活用する光として適しています
  • 温湿度環境
    • 1年を通じて寝室は26±2℃,湿度は60±5%を維持するように心がけましょう
  • 音環境
    • 音楽をかけたまま眠っていませんか。
      睡眠中に覚醒反応が引き起こされる騒音のレベルは40デシベル以上といわれています。パチンと電気のスイッチを入れる音が約48デシベルであり,寝室には図書館並みの静けさが必要です
  • 香り環境
    • 快眠を促進する香りとして代表的なものとして代表的なものにラベンダーやネロリ,カモミール,イランイラン,サランウッドなどがありますが,自分の好きな香りであることが香り選びでは大切です。
      アロマやルームスプレー,ピローミストなどのアイテムで取り入れてみてはいかがでしょうか
  • 空気環境
    • 埃や塵などを除去し,空気の衛生状態を保ちましょう
  • 寝具環境
    • 「枕」・「マットレス」・「掛布団」などの寝具は睡眠の質に影響を与えるだけでなく,体に合っていないものを使用することにより不自然な姿勢を長時間強要されることになるので,日中に起こる頭痛や肩こり,だるさなどといったさまざまな症状の原因にもなりかねません。自分に合う寝具を選びましょう

(参考文献:友野なお「快眠のための環境作りの工夫」精神療法2015)

*よりよい睡眠のためのポイント (環境以外)

  1. 睡眠時間は人それぞれ,日中の眠気で困らなければ十分  
    • 睡眠時間の長い人,短い人,季節でも変化,8時間にこだわらないように
    • 歳をとると必要な睡眠時間は短くなります
  2. 刺激物を避け,寝る前には自分なりのリラックス法
    • 就床前4時間のカフェイン摂取,就床前1時間の喫煙は避けましょう
    • 不眠になりがちな人は軽い読書,音楽,ぬるめの入浴,香り,筋弛緩トレーニングを
  3. 眠くなってから床につく,就床時間にこだわりすぎない
    • 眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ,寝つきを悪くします
  4. 同じ時刻に毎日起床
    • 早寝早起きでなく,早起きが早寝につながります
    • 日曜に遅くまで床で過ごすと,月曜の朝がつらくなります
  5. 光の利用でよい睡眠
    • 目が覚めたら日光を取り入れ,体内時計をスイッチオン
    • 夜は明るすぎない照明を
  6. 規則正しい3度の食事,規則的な運動習慣
    • 朝食は心と体の目覚めに重要,夜食はごく軽く
    • 運動習慣は熟睡を促進します
  7. 昼寝をするなら,15時前の20-30分
    • 長い昼寝はかえってぼんやりのもと,夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響
  8. 眠りが浅いときは,むしろ積極的に遅寝・早起きに
    • 寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減ります
  9. 睡眠中の激しいイビキ,呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
    • 背景に睡眠の病気,専門治療が必要です
  10. 十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
    • 不眠というわけではなく長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談を
    • 車の運転には十分な注意を
  11. 睡眠薬の代わりの寝酒は不眠のもと
    • 睡眠薬代わりの寝酒は,深い睡眠を減らし,夜中に目覚める原因となります
  12. 睡眠薬は医師の指示で正しく使うように
    • 睡眠薬は一定時刻に服用し就床,アルコールとの併用をしないように

(「睡眠障害対処12の指針」内山ら(2012)厚生労働省研究班)

他にも身体的な問題(痛みなど)、精神的な問題(うつ・不安など)が睡眠障害に影響することがあります。
保健管理センターは,心の健康相談もお手伝いさせていただいています。(お気軽にご相談下さい)
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